この記事では、FP3級試験で出題される公的介護保険について、わかりやすく解説しています。
- 公的介護保険の被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と40歳以上65歳未満の第2号被保険者に区分される
- 介護が必要になった場合、原則として自己負担1割で介護サービスを受けられる。ただし、第1号被保険者のうち、一定以上の所得がある人の自己負担割合は2割または3割となる

第2号被保険者の定義(年齢など)がよく問われるよ!
用語
- 公的介護保険(こうてきかいごほけん) … 介護が必要になったときに、原則自己負担1割で介護サービスを受けることができる保険制度。
- 第1号被保険者(だいいちごうひほけんしゃ) … 65歳以上の公的介護保険の被保険者。
- 第2号被保険者(だいにごうひほけんしゃ) … 40歳以上65歳未満の公的介護保険の被保険者。
1. 公的介護保険とは?
公的介護保険は、介護が必要になったときに、原則自己負担1割で介護サービスを受けることができる保険制度です。


なお、公的介護保険は社会保険制度の一つです。


1-1. 保険者(保険の運用主体)
公的介護保険の保険者(保険の運用主体)は、市区町村または特別区(=東京23区)です。
1-2. 被保険者と保険料・受給要件
公的介護保険の被保険者(保険の加入者)は、40歳以上の人で、年齢に応じて、65歳以上の人を第1号被保険者、40歳以上65歳未満の人を第2号被保険者といいます。
それぞれ保険料や受給要件などが異なりますので、違いを押さえておきましょう。
第1号被保険者の場合、保険料は住所のある市区町村が所得に応じて決定され、公的年金が年額18万円以上の場合は公的年金から天引きして保険料が徴収されます。一方、公的年金が年額18万円未満の場合は、市区町村に直接納付します。
また、第1号被保険者は、原因を問わず、要介護者・要支援者となった場合に介護サービスを受けることができます。
一方、第2号被保険者の場合、保険料は加入している公的医療保険(健康保険など)ごとに定める保険料率に基づいて保険料が決定され、健康保険料と一緒に保険料が徴収されます(介護保険料も健康保険料と同じく原則として労使折半)。
また、第2号被保険者は、特定疾病により要介護者・要支援者となった場合のみ、介護サービスを受けることができます。
特定疾病とは、初老期認知症、脳血管疾患、末期がんなどです。


1-3. 保険給付内容
受給要件に該当し、市区町村・特別区から要介護または要支援の認定を受けた場合、いずれの被保険者も自己負担原則1割で介護サービスを受けることができます。ただし、第1号被保険者のうち、一定以上の所得がある人は2割、現役並みの所得がある人は3割の自己負担となります。
なお、要介護とは、介護が必要な状態をいい、介護の程度に応じて5段階に区分されます。
一方、要支援とは、社会的な支援が必要な状態をいい、介護の程度に応じて2段階に区分されます。
過去問にトライ!
【問題1】公的介護保険の被保険者区分①
次の文章の( )内にあてはまる最も適切な文章、語句、数字またはそれらの組合せを1) ~3)のなかから選びなさい。
公的介護保険の第( ① )被保険者は、市区町村または特別区の区域内に住所を有する( ② )以上65歳未満の医療保険加入者である。
1) ① 1号 ② 40歳
2) ① 2号 ② 40歳
3) ① 2号 ② 60歳
(日本FP協会 3級FP技能検定 学科試験 2022年5月 第2問(32))
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【解答】
2
【解説】
公的介護保険の被保険者は第1号被保険者と第2号被保険者の2種類があり、第2号被保険者は、40歳以上65歳未満の医療保険加入者です。
したがって、正解は 2 です。
【問題2】公的介護保険の被保険者区分②
次の文章の( )内にあてはまる最も適切な文章、語句、数字またはそれらの組合せを1) ~3)のなかから選びなさい。
公的介護保険の被保険者は、( ① )以上の者は第1号被保険者、( ② )の公的医療保険加入者は第2号被保険者に区分される。
1) ① 60歳 ② 40歳以上60歳未満
2) ① 65歳 ② 40歳以上65歳未満
3) ① 65歳 ② 45歳以上65歳未満
(日本FP協会 3級FP技能検定 学科試験 2022年5月 第2問(32))
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【解答】
2
【解説】
公的介護保険の被保険者は第1号被保険者と第2号被保険者の2種類があり、65歳以上の人は第1号被保険者、40歳以上65歳未満の人は第2号被保険者に区分されます。
したがって、正解は 2 です。
【問題3】公的介護保険の自己負担割合①
次の文章を読んで、正しいものまたは適切なものには○を、誤っているものまたは不適切なものには×をつけなさい。
公的介護保険の保険給付の対象となるサービスを利用したときの被保険者の自己負担割合は、原則として、そのサービスにかかった費用(食費、居住費等を除く)の割である。
(日本FP協会 3級FP技能検定 学科試験 2017年9月 第1問(3))
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【解答】
【解説】
公的介護保険の自己負担割合は原則として1割です。
したがって、正解は×です。
【問題4】公的介護保険の自己負担割合②
次の文章を読んで、正しいものまたは適切なものには○を、誤っているものまたは不適切なものには×をつけなさい。
公的介護保険の第1号被保険者が、公的介護保険の保険給付の対象となる介護サービスを受けた場合の自己負担割合は、その者の合計所得金額の多寡にかかわらず、1割である。
(日本FP協会 3級FP技能検定 学科試験 2016年9月 第1問(4))
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【解答】
【解説】
公的介護保険の自己負担割合は原則として1割ですが、第1号被保険者のうち、一定以上の所得がある人は2割、現役並みの所得がある人は3割の自己負担となります。
したがって、正解は×です。
以上で第7回のFP3級講座はおわりです。お疲れさまでした!