【簿記3級問題集⑨】「商品有高帳」の問題(第2問対策)

【簿記3級問題集⑨】「商品有高帳」の問題(第2問対策)

日商簿記3級試験の第2問対策として、商品有高帳が論点となる問題を2問用意しました。ネット試験(CBT)形式にも対応しています(※ただし、採点機能はありません)。

1問あたり7分~8分で解くのが理想です(長くても10分)。ぜひチャレンジしてみてください。

なお、商品有高帳の論点に自信がない方は、先にこちらの記事を見ておくことをおすすめします。

目次

問1. 商品有高帳からの勘定記入

Q. 問題

次の商品有高帳の記録にもとづいて、三分法による勘定記入を推定し、繰越商品勘定、仕入勘定および売上勘定を記入しなさい。なお、本問の解答上、会計期間は4月1日から4月30日までの1か月とし、4月30日を期末(決算日)として記帳手続を示すものとする。また、A商品の売価は、4月12日が1個あたり50円、4月25日が1個あたり60円とする。

問1-1
繰越商品
4/1 前期繰越 4/30 仕入
 30 仕入 次期繰越
仕入
4/10 買掛金 4/30 繰越商品
 20 買掛金 損益
 30 繰越商品
売上
4/30 損益 4/12 売掛金
 25 売掛金

A. 解答&解き方ガイド

解答

解答を見る
繰越商品
4/1 前期繰越 840 4/30 仕入 840
 30 仕入 456 次期繰越 456
1,296 1,296
仕入
4/10 買掛金 300 4/30 繰越商品 456
 20 買掛金 540 損益 1,224
 30 繰越商品 840
1,680 1,680
売上
4/30 損益 3,060 4/12 売掛金 1,500
 25 売掛金 1,560
3,060 3,060

解き方ガイド

本問は、「商品有高帳」から取引を読み取って勘定記入を行う問題です。

勘定記入問題の基本的な解き方は次のとおりです。

勘定記入問題の基本的な解き方
STEP
開始記入・期首再振替仕訳
  • 前期からの繰越がある場合は開始記入を行う
  • 繰り延べ・見越しや貯蔵品のケースでは、前期の決算整理仕訳の逆仕訳を行い、各勘定に転記する
STEP
期中仕訳

問題文の各取引について仕訳を作成し、各勘定に転記する

STEP
決算整理仕訳

繰り延べ・見越しなどの決算整理仕訳を作成し、各勘定に転記する

STEP
収益・費用・損益勘定の締め切り
  • 収益・費用勘定の残高を損益勘定に振り替える仕訳を作成し、転記する
  • 損益勘定から当期純利益(純損失)を繰越利益剰余金に振り替える(損益勘定の記入がある場合)
STEP
資産・負債勘定の締め切り
  • 資産勘定の借方残高について、貸方側に期末日の日付で「次期繰越」と金額を記入する
  • 負債勘定の貸方残高について、借方側に期末日の日付で「次期繰越」と金額を記入する
STEP
資産・負債勘定の開始記入・期首再振替仕訳
  • 資産勘定の借方側に、翌期首の日付で「前期繰越」と繰り越した金額を記入する
  • 負債勘定の貸方側に、翌期首の日付で「前期繰越」と繰り越した金額を記入する
  • 繰り延べ・見越しや貯蔵品のケースでは、前期の決算整理仕訳の逆仕訳を行い、各勘定に転記する
STEP
開始記入・期首再振替仕訳

本問では、繰越商品勘定の開始記入を考える必要があります。

開始記入の金額は、問題文で与えられている商品有高帳から読み取ります。

問1-2
STEP
期中仕訳

期中仕訳について、商品有高帳から取引を読み取り、仕入勘定および売掛金勘定の金額を埋めます。

まず仕入については、4月10日と4月20日に取引があったので、これらの金額を商品有高帳から読み取って記入します。

問1-3

同様に、売上についても4月12日と4月25日に取引があったので金額を記入していきます。ここで注意が必要なのは、商品有高帳には”原価”で記帳されているので、売上金額は別途計算する必要があるということです。

例えば、4月12日の取引では、売価50円の商品を30個販売しているので、売上金額は1,500円となります(商品有高帳に記載の600円ではない)。

問1-4

なお、仕訳で表すと次のようになります。

4月10日:商品を仕入れたときの仕訳

借方貸方
仕入 300買掛金 300

4月12日:商品を売り上げたときの仕訳

借方貸方
売掛金 1,500売上 1,500

4月20日:商品を仕入れたときの仕訳

借方貸方
仕入 540買掛金 540

4月25日:商品を売り上げたときの仕訳

借方貸方
売掛金 1,560売上 1,560
STEP
決算整理仕訳

売上原価を計算するための決算整理仕訳を行います。

本問では期首在庫が840円あるので、まずはこれを繰越商品勘定から仕入勘定に振り替え、次に期末在庫の456円を仕入勘定から繰越商品勘定に振り替えます。

4月30日:決算整理仕訳(売上原価の仕訳)

借方貸方
仕入 840繰越商品 840
繰越商品 456仕入 456
問1-5
STEP
仕入勘定・売上勘定の締め切り

仕入勘定の残高(1,224円)および売上勘定の残高(1,560円)をそれぞれ損益勘定に振り替えて、勘定の締め切りを行います。

問1-6
STEP
繰越商品勘定の締め切り

期末日の日付にて、繰越商品勘定の残高(456円)を貸方側に「次期繰越」として記入し、勘定の締め切りを行います。

問1-7
STEP
開始記入・期首再振替仕訳

本問では、翌期の開始記入・期首再振替仕訳は不要です。

以上で問1の解説をおわります。

問2. 商品有高帳の作成

Q. 問題

次に示すA商品の取引等について、商品有高帳の空欄に適切な数値を記入しなさい。A商品の払出単価は移動平均法によって算定している。なお、仕入戻しがあった場合は払出欄に記録する。

4月1日A商品の月初有高は¥4,000(単価¥100×40個)であった。
4月5日A商品を単価¥120で10個仕入れた。
4月17日A商品を単価¥200で20個売り上げた。
4月23日A商品を単価¥130円で30個仕入れた。
4月24日23日に仕入れたA商品のうち8個が品違いであったことが判明したため、返品した。
商品有高帳
X1年 摘要 受入高 払出高 残高
数量 単価 金額 数量 単価 金額 数量 単価 金額
4 1 前月繰越
5 仕 入
17 売 上
23 仕 入
24 仕入返品

A. 解答&解き方ガイド

解答

解答を見る
商品有高帳
X1年 摘要 受入高 払出高 残高
数量 単価 金額 数量 単価 金額 数量 単価 金額
4 1 前月繰越 40 100 4,000 40 100 4,000
5 仕 入 10 120 1,200 50 104 5,200
17 売 上 20 104 2,080 30 104 3,120
23 仕 入 30 130 3,900 60 117 7,020
24 仕入返品 8 130 1,040 52 115 5,980

解き方ガイド

本問は、問題文の取引にもとづいて商品有高帳を作成する問題です。

STEP
月初残高

A商品の月初有高4,000円(100円×40個)を記入します。

【受入高】
数量:40個
単価:100円
金額:4,000円

【残高】
数量:40個
単価:100円
金額:4,000円

問2-1
STEP
4月5日(商品の仕入れ)

A商品1,200円(120円×10個)の仕入れを記入します。移動平均法を採用しているため、残高の数量と金額は受入高欄と前月繰越の残高を合計して記入し、単価は金額を数量で割って算出します。

【受入高】
数量:10個
単価:120円
金額:1,200円

【残高】
数量:50個(40個+10個)
単価:104円(5,200円÷50個)
金額:5,200円(4,000円+1,200円)

問2-2
STEP
4月17日(商品の売り上げ)

A商品20個の売り上げを記入します。払出時の単価は4月5日の残高で求めた単価104円を用います。

【払出高】
数量:20個
単価:104円(4月5日時点の残高の単価より)
金額:2,080円(104円×20個)

【残高】
数量:30個(50個-20個)
単価:104円(3,120円÷30個)
金額:3,120円(5,200円-2,080円)

問2-3
STEP
4月23日(商品の仕入れ)

A商品3,900円(130円×30個)の仕入れを記入します。

【受入高】
数量:30個
単価:130円
金額:3,900円(130円×30個)

【残高】
数量:60個(30個+30個)
単価:117円(7,020円÷60個)
金額:7,020円(3,120円+3,900円)

問2-4
STEP
4月24日(商品の返品)

4月23日に130円で仕入れたA商品8個の返品を記入します。返品であるため、払出時の単価は4月23日の仕入時の単価130円を用います。残高の単価は、残高の金額を数量で割って算出します。

【払出高】
数量:8個
単価:130円
金額:1,040円(130円×8個)

【残高】
数量:52個(60個-8個)
単価:115円(5,980円÷52個)
金額:5,980円(7,020円-1,040円)

問2-5

以上で問2の解説をおわります。

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