この記事では、自社の役員や従業員に対する貸し付けと、役員からの借り入れの仕訳について解説しています。
なお、役員・従業員以外との通常の貸し付け・借り入れについてはこちらの記事で解説しています。
- 自社の役員に対してお金を貸し付けたときは、借方に「役員貸付金」（資産）を記入する
- 自社の従業員に対してお金を貸し付けたときは、借方に「従業員貸付金」（資産）を記入する
- 自社の役員からお金を借り入れたときは、貸方に「役員借入金」（負債）を記入する
ダニー自社の役員や従業員との貸付金・借入金は
通常の貸付金・借入金とは分けて記録するよ
1. 用語と勘定科目
- 役員（やくいん） … 会社の取締役、会計参与、監査役の総称のこと。いわゆる経営陣。
- 役員貸付金（やくいんかしつけきん） … 自社の役員への貸付金を処理する勘定科目。資産。
- 従業員貸付金（じゅうぎょういんかしつけきん） … 自社の従業員への貸付金を処理する勘定科目。資産。
- 役員借入金（やくいんかりいれきん） … 自社の役員からの借入金を処理する勘定科目。負債。
2.【役員貸付金】役員にお金を貸し付けたときの仕訳
ダニー株式会社は、自社の役員に対して200円を貸し付け、当座預金口座から役員の普通預金口座へ振り込んだ。
会社は自社の役員や従業員に対してお金を貸し付ける場合があります。
自社の役員に対してお金を貸し付けると、「役員からお金を返してもらう権利」が発生します。この権利が発生した場合は、通常の貸付金とは区別するため、「役員貸付金（やくいんかしつけきん）という勘定科目を使って、資産の増加（←借方）として記録します。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 役員貸付金 | 200 | 当座預金 | 200 |
3.【従業員貸付金】従業員にお金を貸し付けたときの仕訳
ダニー株式会社は、自社の従業員に対して100円を貸し付け、当座預金口座から従業員の普通預金口座へ振り込んだ。
自社の従業員に対してお金を貸し付けると、「従業員からお金を返してもらう権利」が発生します。この権利が発生した場合は、通常の貸付金と区別するため、「従業員貸付金（じゅうぎょういんかしつけきん）という勘定科目を使って、資産の増加（←借方）として記録します。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 従業員貸付金 | 100 | 当座預金 | 100 |
4.【役員借入金】役員からお金を借り入れたときの仕訳
ダニー株式会社は、自社の従業員に対して300円を貸し付け、当座預金口座から従業員の普通預金口座へ振り込んだ。
会社は自社の役員からお金を借りる場合があります。
自社の役員からお金を借り入れると、「役員にお金を返す義務」が発生します。この義務が発生した場合は、通常の借入金と区別するため、「役員借入金（やくいんかりいれきん）という勘定科目を使って、負債の増加（貸方→）として記録します。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 300 | 役員借入金 | 300 |
5. 確認テスト
5-1.【問題】役員に対する貸付金の仕訳
下記の取引について仕訳してください。ただし、勘定科目は選択肢から最も適当と思われるものを選び、記号で解答すること。
当社の役員に対して￥4,000を貸付期間3か月（利率4％）を貸し付けていたが、本日満期日になり、利息とともに当社の当座預金口座に振り込まれた。
【選択肢】
ア. 貸付金 イ. 役員貸付金 ウ. 当座預金 エ. 受取利息 オ. 役員借入金 カ. 支払利息
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 記号 | 金額 | 記号 | 金額 |
| （ ） | （ ） | ||
| （ ） | （ ） | ||
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【解答】
| 借方 | 貸方 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 記号 | 金額 | 記号 | 金額 | ||
| ウ | 当座預金 | 4,040 | イ | 役員貸付金 | 4,000 |
| エ | 受取利息 | 40 | |||
【解説】
役員に対する貸付金の仕訳問題。
- 従業員に対する貸付金を回収したときは、資産の減少として「役員貸付金」（資産）を貸方→に記入します。
- 利息を受け取ったときは、収益の発生として「受取利息」（収益）を貸方→に記入します。
- 問題文に「貸付期間3か月」とあるので、利息は月割で計算します。計算式は次のとおりです。
【 役員貸付金 4,000円 × 利率 4% × 借入期間 3か月 ÷ 12か月 = 40円 】 - 当座預金に振り込みがあったときは、資産の増加として「当座預金」（資産）を←借方に記入します。なお、返済金とともに利息を受け取っているので、金額は4,000円に利息額40円を足した4,040円を記入します。
以上で第16回の日商簿記３級講座はおわりです。お疲れさまでした！